はぐれDJ道

2017年01月25日

第30回「monolith slip インタビュー」

イッツ・パーティ・タイム。DJイオだ。今回は「monolith slip」というユニットを紹介したい。昨年私は YAVADJs という、新宿ドゥースラーで行っていたパーティに遊びに行っていた。そこで出会ったのが「monolith slip」だ。
juke からベースミュージック、ハードコアと縦横無尽に横断されるネタの中にも時折挟み込まれるナードなネタ。私は「こんなユニットがあるのか!」とフロアの真ん中で立ち尽くしたり盛り上がったりするしかなかった。
その後も「アニメトロ vs UNDERWATER」「BOUNCE UP」「家-Yeah-」「SUGODJs」と名だたるパーティに出演する彼らは破竹の勢いであった。
現在長野在住の大学生、フセ氏、さいばとろん氏の 2人で行われているユニット「monolith slip」について今回はインタビューを行った。




フセ氏、さいばとろん氏、2人の出会い

イオ : では、お二人の出会いからお聞きしたいと思います。今お2人とも長野で大学生との事ですが、出会いは大学の時だったんですか?

フセ : そうですね、でも大学は全然関係なくてですね。

さいばとろん(以下、さい) : 大学 3年だったかな?

イオ : それでは大学外での出会いだったんですか?

フセ : あれ、松本でやってたドラムンのパーティで会ったのが最初?瓦レコードでやった LEF!!! のリリースパーティの時が最初?

さい : ドラムンの時だね。

イオ : あ、じゃあそれぞれクラブ通いはしていて、パーティで偶然出会った感じだったんですね。

フセ : いや、たしか偶然ではなくて、元々僕が長野市でドラムンベースとか UK ハードコアがかかるイベントに出ててですね

イオ : なるほど。

フセ : そのイベントのオーガナイザーの方が、松本にさいばとろんっていう変な音楽作ってるやつがいるらしいんだよねっていう話をされてですね。

イオ : 変な音楽。(笑)

さい : 当時 Gorge っていうジャンルをよく作ってたのでそのせいかと。(笑)

フセ : それで、ちょうど近い時期にその方がレジデントでやってるドラムンのパーティが松本であって、呼びつけたとかそんな感じだったかと思います。当時は twitter でお互いフォローすらしてなくて、「あ、ウッス」くらいしかしゃべんなかった気がする。

イオ : あ、じゃあ約束してちょっと会ってみようって感じだったんですね。

フセ : そうですね、もっと言うと、約束してちょっと会ってみようってのに着いてってみたって感じっす。(笑)

さい : そうそう、なんか本当にちょっとしか喋んなかったよね。

イオ : そこから、monolith slip というユニットをやる事になったきっかけを伺いたいです。

フセ : えーっと経緯を説明するとですね、その後、ばとろんにその長野でやってるイベントにゲストで出てもらったりして。

イオ : はい。

フセ : いつの間にか仲良くなってて、それから松本で、僕とさいばとろんとあとマッシブって言う人がいるんですけど、その3人がレジデントなベースミュージックのイベントを始めたんですよね。

イオ : 一緒にイベントを立ち上げるにまで仲良しに!

さい : 俺はなんか気づいたら頭数になってた感じですね。

フセ : そうそう、勝手に頭数に入れた。

イオ : いつの間にか無理やり。

フセ : それで、さいばとろんはずっと Live セットで出演してたんですけど、タイムテーブル組むのに、毎回さいばとろんライブセットだと毎回おんなじ感じになっちゃうからお前も DJ 始めろやって言ったんですよ。その時に、僕と B2B なら DJ やってやってもいいよって言われて、それが始まりっすね(笑)ユニット結成のきっかけはこんな感じっす。

イオ : なるほど、最初は B2B ユニットからスタートしたんですね。

フセ : それが結局一回も B2B したことないんですけどね。

イオ : なんと!

さい : 結局 DJset のときはふせが選曲してます(笑)俺はアジテーター役で立ってるだけですね。

フセ : DJset もこの前の SUGODJs が初めてでしたね、まだ 1回しかやったことない。(笑)

イオ : 聴きたかった




Live ユニットとしての始まり

フセ : そもそも Live 自体もまだ両手で数えれるくらいしかやって無いんですよね実は。

さい : 10回とかそんなもんだよね多分。

フセ : 多分、10回もやってないわ。

イオ : かなり名前を見るので、もっとやっているのかと思いました。

フセ : 僕らとしては全然そういう実感がないので、毎回オファー来る度にはぁ?ってなってます。(笑)

さい : 「monolith slip」っていう名前だけが一人歩きしてるんですよね。

フセ : そうそう。ほんと怖い。

イオ : それだけ今注目度が高いんだと思います。アニメトロなどかなり大きなパーティも出演されてますし。

フセ : いやーありがたい話です本当。

さい : 呼んでいただけるのは本当にありがたいです。

フセ : それで、ユニット結成の話に戻るんですけど、ちょうどその時期に僕も DTM を始めまして、作ったループだったりをさいばとろんに送ってたんですよね。

イオ : なるほど。

フセ : そしたらある日さいばとろんからそのループを使って曲作った〜みたいな連絡が来て。

さい : あー懐かしい話だなーそれ。

フセ : それで、せっかくだしサンクラのアカウント作るかーつって、アカウント作ったって感じっす。




ユニット名の由来

イオ : ありがとうございます!ちなみに、ユニット名はどこから来ているんですか?

フセ : なんだっけ、何か英単語 2個にしようみたいな話になって。

さい : 一番最初にゲームっぽい名前がいいよねって俺がテクモゴーストって名前を考えたんだよ。

フセ : そうそう、お互いの共通の趣味がゲームだったので。

さい : そっからテクモといえばモンスターファームでしょ!ってなって。

フセ : そうそう。

イオ : テクモいい語感だし、いいメーカーですよね。モンスターファーム懐かしい。

フセ : で僕が一番好きな種族がモノリスだったんですよね。

イオ : あ、そこから来てるんですね。

フセ : 僕は小学生の頃に父親の CD 棚片っ端からひっくり返してめっちゃ怒られた記憶があります。

イオ : ふふふ。

さい : そっから単語二つの方が良いってなってふせがモノリススリップって閃いて、今に至るって感じですね。

フセ : スリップには特に意味なかったんですけど、最近は Slipknot のスリップってことにしてます。

さい : 俺がスリップノットのファンなので

イオ : ハピコアの方ですか?(スリップマットと間違えていた)

フセ : メタル?

さい : あ、いやミクスチャーロックの方です!

イオ : 間違えました!すみません。

さい : 恐い集団です。

フセ : まぁ、こんな感じっす。




トラックの作り方

イオ : よくわかりました!では作曲の方もお聞きしたいんですが、現在もトラックの作り方はフセさんがループを作って、さいばとろんさんが仕上げる感じで行っていますか?

さい : いや二人が各々で同時進行で作ってます。

イオ : なるほどシーケンサーはお二人とも別ですか?

さい : 別ですね 俺が Cubase で。

フセ : 僕が FL Studio です。

イオ : あ、だと共同作業はなかなか難しいですね。

フセ : そうなんですよ。

さい : 書き出して、パスし合う感じです。

フセ : たまにやるんですけど、いちいちパラデータを書き出すのがめちゃくちゃ面倒くさくて。

さい : 音の質感も違うからミックスも結構しんどいよね。

フセ : そう。なので、ほとんどの場合はどっちかの DAW で作業が完結してます。

イオ : じゃあ本当に平行作業ですね。

フセ : デモができたら送って、アドバイスもらって完成させるみたいな。

さい : 足したい音あったらスカイプで送ってそっちのプロジェクトで足してもらう。

フセ : 早く Ableton 買おうな。

さい : ってのが一番早くてやりやすいってなってます今は。

イオ : なるほど。

さい : そうだね




各々の音楽的バックボーン

イオ : では、これは最初に聞こうと思って抜けちゃってた所なんですが、フセさん、さいばとろんさん、それぞれの音楽的バックボーンを教えて頂けたらと。

フセ : インタビューっぽくなってきてしまった。

イオ : 聞いときたいとこです。

さい : 俺は元々はバンドマンだったので メタルミュージックが音楽の始まりでしたね。

イオ : おお!意外!

さい : 早ければ早いほどカッコイイ精神はその頃に培われました。

フセ : (笑)

イオ : なるほど。(笑)

フセ : 僕は小中とピアノ習ってたんですけど、クラシックを聴くわけでもなく、普通にロキノン系のバンド聴いてましたね。

イオ : お二人とも打ち込みからではなくてバンドからだったんですね。

さい : 俺もふせもクラブミュージックにたどり着くまでが結構長いんですよね。

フセ : そうですね、テクノのテの字も無かったっす。

イオ : クラブミュージックに辿り着くいきさつもお聞かせ願えたらと。

フセ : えーっとそれじゃ僕から。高校の時はなんやかんやで色んな音楽聴いてみたりしたんですけど結局一番聞いてたのは邦ロックだったかもです。それから大学入って、俗に言う音ゲーを始めまして、そこからハードコアタノシー経由で UK ハードコアを聴くようになったのが最初ですかね。

イオ : じゃあダンスミュージックとしては UK ハードコアがいわゆる原点なんですね。

フセ : 高校の時に、なんか色々音楽詳しい友達に勧められてテクノとかも一瞬聴いたんですけど当時はハマんなかったですね。

イオ : よっぽど好みの音楽がないとなかなかマニアックなジャンルですしね。

フセ : 当時は何だこの地味な音楽・・・くらいに思ってましたねw

イオ : 展開も少ないし・・・みたいな。

フセ : おっしゃる通りです。(笑)

イオ : (笑)

フセ : それで自分で UK ハードコアとか掘るようになってきたくらいの時に、大学の先輩がやってる学生イベントに誘われたのが初クラブイベントでしたね。多分大学 3年の秋くらい。

イオ : 初めてクラブで大きい音で好きな音楽聴けると嬉しいですよね。

フセ : 大きい音で好きな音楽聴けて楽しいってのももちろんあったんですけど、当時はそれよりもクラブのなんかアングラ感にすごいソワソワしてた記憶があります。

イオ : おーなんとなくわかります!怪しい人達がたくさんいる!みたいな。

フセ : しかも、その誘ってくれた大学の先輩は UK ハードコアの DJ だったんですけど、他の出演者の人たちは皆ディープハウスとかテクノとかやってて。

イオ : 結構幅広く聴けたんですね。

フセ : ほんとにオールジャンルイベントって感じでしたね。それでなんやかんやで僕もDJ始めることになって、UK ハードコア からドラムンに浮気して、そこから俗に言うベースミュージックにハマって、今は音数がめっちゃ少ないテクノとかハウスとかにハマってます。

イオ : 聴かせてもらったネタのなかに basement jaxx ネタなどもありましたし、そうだったんですね。よくわかりました!ありがとうございます!

イオ : それではさいばとろんさんもお聞かせ願えたらと。

さい : 俺は中学高校とずっとメタルとかパンクとかそういう精神病みたいな音楽を聴いてたんですけど。

イオ : 精神病までいわなくても。(笑)

さい : 中学2年の夏で止まってる感じがするんですよねメタルって。(笑)そこから高校のダンス部の友達と仲良くなって Capsule っていう中田ヤスタカのユニットを教えてもらったのが打ち込みミュージックの入りだった気がします

イオ : おお!結構有名な所からの入り口ですね。

フセ : 僕も jubeat に入ってた Capsule の曲聴いてアルバム借りた記憶が。

さい : 結構 王道!とか有名!に弱いんですよね俺。へー、Jubeat に入ってるんだ Capsule 。

イオ : 作ってるマッシュアップも結構王道ネタが散見されるように思います。

さい : みんなでハンズアップ!みたいなのが好きなんですよね実は。

フセ : あとなんというか、王道以外あんまりわかんないんですよね、知識が乏しくて。

さい : そこから Capsule が影響受けたであろう DaftPunk とかピチカートファイブとかを聞いたりしてたんですけど、ある日突然親父の CD 棚から電気グルーヴのアルバム「A(エース)」を見つけてしまって。

イオ : 親が電気の「A」を聴いてる時代!

さい : ウチの親 ちょっと特殊な音楽趣向なんですよね、最近は水曜日のカンパネラ聞いてるみたいです。

フセ : 若い。

イオ : それはお得な所ですね。時代についていってる。

さい : そこから石野卓球のソロにも興味が出てきて、石野卓球の Polynasia っていう曲に出会ったときにあ、俺はもうテクノ作ろうってなりました。

イオ : おお、あの曲は最高ですよね。PV もいいし。そこから DTM 始めたんですね。

フセ : 実は僕が高校の時につまんねーって思ったのが Polynasia だったことが後に判明しました。

イオ : (笑)

フセ : 今聴くとかっこいいんですけど。

さい : その時ちょうど一緒にバンドやってた仲間は東京やら神奈川やらに行ってしまってたのもあって、一人でできるしってことでいつのまにか DTM 始めてましたね。

イオ : なるほど。よくわかりました。ありがとうございます!




曲のネタの決め方

イオ : では、先に進んで、monolith のトラックを聴かせてもらうと、アニソン、アイドル、JPOP、ハウス、テクノ、RAVE、ゲーム、などかなり元ネタが幅広いんですが、これはその時お二人で相談して決める感じでしょうか?

フセ : そうですね、相談して決めてますね。

さい : 先にもうトラック作ってることが多いよね。

フセ : そうそう。僕の場合は議題に出す段階でもう頭の中でトラックの完成形があったりします。

さい : これモノリスでやりたいけどどう思う?って感じで、デモ作って送っちゃう。

イオ : 逆に作っちゃってから、相手に聴かせるのもあるし、デモで聴かせる感じもあるし、って感じでしょうか。

フセ : そうですね。デモの段階でもう 8割くらい完成してる事が多いっす。

さい : ですね。

イオ : 活動歴からのトラックの多さがわかった気がします。

さい : でも何かのコンピとかの場合は作る前に二人でどういう戦略でいくかって感じで相談してることが多いですね。

イオ : なるほど。




影響を受けたアーティスト

イオ : では次に、影響を受けた、リスペクトするアーティストなどお聞かせ願えたらと思います。

フセ : monolith slip で、だと完全に国士無双のお二人ですね

さい : だねー。

フセ : そもそもが国士無双のライブのパクリをしようっていうテーマだったので。

イオ : おお、いわゆるナード的なスタイルもあるし、国士無双も丁度 2人ですし、国士無双に近い部分は意図してやってたんですね。

さい : 意図してですね完全に。

フセ : 真似的というか、個人的には完全に真似だと思ってます・・・w

イオ : (笑)

フセ : 去年くらいに東方ネタのマッシュアップをサンクラにアップしたんですけど、それに藤子名人が twitter でコメントしてくださって、その時はちょっと肝が冷えましたね。干される…!って思った。

イオ : 本人に認識されてる!みたいな。

さい : その後 AKIRA ネタ使ってるのも見つかって、怒られる..!ってなりましたね。

フセ : その後 DM で音源送ると同時に謝罪しました。(笑)

さい : 謝罪は本当大切。

イオ : ネタがかぶっただけで謝罪まで!

さい : まぁ元から真似のつもりだったので。(笑)

フセ : そうそう、ユニット自体が完全にパクリで始めたってのが心のどっかにあって。

イオ : そこで謝る事でケジメをつけた感じですね。

さい : でも今は極端に真似って感じではなくなってはきてるよね。

フセ : そもそも真似しようとして真似できるもんでもなかった。

さい : それだ。

イオ : だんだんに monolith のオリジナリティが。

さい : 最初は国士無双を追いかけてた感じだったんですけど、最近はモノリススリップっていう存在に追いかけられてる感じになってます。

フセ : っていうとカッコいいね。

イオ : オファー数やパーティの規模に驚いたりなどですか?

フセ : そうですね。始めた当初はまさかこんなに色々呼んでもらえるようになるとは思ってなかったっす。

イオ : 多分今年はもっと増えると思いますよ!

さい : いやー嬉しいけど恐い!

フセ : いやー、すぐ飽きられると思ってます!

さい : 今年はダメだろって二人で話したもんね。

イオ : そんな事無いと思います!。




今後の目標

イオ : それでは最後に、今後の目標、目指す所を語って頂けたらと。

フセ : 来年度から社会人になるので、いい感じに仕事と両立して細く長くやっていけたらなと言う感じです。真面目か。

イオ : や、現実的でいい目標だと思います。

フセ : あとさいばとろんが早く DJ できるようになって貰いたいです。

さい : 出来るよ 自宅レベルだけど。自分らが楽しいと思うことをみんなと共有できたらいいなと思います。

イオ : いいですね。

フセ : とにかくライブセットの仕込みが面倒くさいので、早く B2B スタイルもできるようになりたい。

イオ : それではありがとうございました!という前におまけの質問なのですが、それでは、最後の最後にそれぞれ好きなジブリ作品とエピソードをお願いします!




好きなジブリ作品

さい : 俺は「耳をすませば」かなー? これといって良いエピソードはないんですが小学生のときに VHS の挙動がおかしくなるくらいみました。

フセ : 「風の谷のナウシカ」で、アスベルがチコの実を長靴いっぱい食べたいよって言うとこが好きです。

イオ : 丁度先週(インタビューは1月16日)やってましたね!耳をすませばも好きです!お時間頂いてありがとうございました!




フセ氏:https://twitter.com/esuf11
さいばとろん氏:https://twitter.com/hifoil
soundcloud:https://soundcloud.com/monolith-slip




如何だったであろう。
最近とみに流行りの更新が早くなっていく世の中、20代前半の彼らもまた、色々な音に出会い、様々な変化を遂げて行くことであろう。2年後、5年後、monolith がどういったユニットになっていくのか、楽しみに音源を聴いて見守っていきたいと思う。
それでは皆様、ビート・ゴーズ・オン。



posted by DJイオ at 11:00| 第26回〜第50回