今回は、以前他の方にインタビューした後、DJ の「神と和解せよ」氏が「DJイオさんのインタビュー上手くて俺もインタビューされたくなった。」
という発言がきっかけでインタビューする事になった。
以前、MOGRA で行われた「モグラキ県」のイベントで、私の前が「神と和解せよ」氏で、アニリミでめっちゃ盛り上がっていたのが、私はその時電気セットという縛り(自分で提案したわけではなく、DJ Shimamura氏に指定されたもの。瀧が謹慎中で電気の音源が全く手に入らず、苦労した)
だったので、電気をかけたら凄くサーッとお客さんが引いてしまったのが印象的だった。「神と和解せよ」氏は Twitter での発言しか情報が無く、(後ほど検索した所、mixcloud もあった)かなり謎な氏の存在は気になっていたので、インタビューを行った。

出会いはモグラキ県
DJイオ(以下、イオ): まず、私と神と和解せよさんが初めてお会いしたのがモグラキ県のイベントで、私の前が和解せよさんでしたね。モグラキ県に呼ばれたのは、茨城と何か縁があったのでしょうか・・・?
神と和解せよ(以下、神と): 単純に茨城県出身だからです。茨城県小美玉市出身です。モグラキ県は前から存じていまして、その時期はとにかく出演を増やそうとしていたので、おそらく茨城県ということをタイキ君に売り込んで無理やり出ていたと思います。
イオ: 小美玉市出身!県央の方ですね。失礼ながら私は日立の方で、まだ行った事がありません・・・!
神と: 日立は海浜公園があるのでなんとなくわかります。高校は水戸の方だったし。海浜公園があるのはひたちなかかもしれませんが・・・。
イオ: 自然とそうなりますよね、大体水戸に出ていくか、県から出ていく・・・神と和解せよさん、taikixxx君ばりに名前をよく見るので、どんな方なのかなーと当日まで思っていました。ちなみに差し支えなかったら現在何歳なのか教えて頂いても宜しいでしょうか?
神と: 1987年生まれの 34歳です。
イオ: おお!20代なのかと思っていました。タイキ君がこないだ 38? 37?忘れたけどそのぐらいと言っていたので、(イオが本人に確認した所、36歳だった)そこそこ近い年頃ですね。先日読ませて頂いたインタビューですと、元はラブライブオタだったとの事で、失礼ながら私は今まで通ってきていなくて、女子高生を題材にした総合的なコンテンツという印象なのですが、どういう物なのか、どこら辺が魅力的だったのか教えて欲しいです。
神と: 話すと長くなるのですが・・・。
イオ: はい!長くても大丈夫です!
「ラブライブ!」と「HIPHOP」は似ている
神と: まず僕はもともと「神と和解せよ」になるまえからかなり長い間音楽をやっていて、活動的には HIPHOP のあれこれをしていたんですが、そんななかラブライブ!というものになぜ魅力を感じたかといと、端的に言うと「HIPHOP に似ていたから」です。
注釈:このインタビューでいまから多用される「HIPHOP」は僕が目の当たりにしたインディペンデント的な活動がたまたま「HIPHOP」だったというだけで、もしかしたら他の同人活動や自主制作映画とかの世界でも似たようなことはあるかもしれませんが、あくまで主観として自分が体験したことのある「HIPHOP」という言葉を使っています。それ以外のカルチャーを否定する訳ではないということを念頭に置いて読んでいただけると幸いです。
イオ: 和解せよさん的にどこが似ていたと感じたのでしょうか?
神と: これはツイッターでよくある、アニメキャラの言動とかラップパートがあるとかで言われがちな「◯◯は HIPHOP!笑」みたいなのとはちょっと違って、本当に僕が今まで HIPHOP に感じていた部分と根本的に被る部分が多くて、逆にビジュアルや音楽的には HIPHOP にはあんまり似ていません。もっと根っこの部分が似ていると思います。まず、ラブライブ!と言う話というかコンテンツの大元は「学校が廃校になりそうなのでそれを阻止するためにアイドルの大会で優勝を目指す」という大枠のストーリーがあり、(逆にそれ以外の根本的な話はかなりおおらかに設定されているのでノベル版・アプリ版・アニメ版などでかなり揺れがありますが)
イオ: ガルパン的な感じですね。
神と: 「母校のために=地元の人々の生活や文化を守る、大袈裟にいうと生きるために」、何かのカルチャーを利用して自主的にインディペンデントな活動を行うことで有名になって成果を得ようとする行動、というのがまず、フッド(※地元のこと)からマイク一本で成り上がる思想を持った HIPHOP にかなり似ています。また、その場合の成功とは「一人の成功」のことではなく「フッドと呼ばれる所属するコミュニティの繁栄」や「仲間の名声」も含めたものであるというのが基本的なマインドとしてあり、単純な成り上がりとは違います。
日本には他にもアイドルコンテンツがあるのですが、だいたいプロデューサーさんや専門学校に通ったりが元々あったりするのが一般的で、そのなかであくまで地元の仲間を増やして、曲を作って、振り付けをつくって、地元の応援を背負ってのしあがるというのが、本当に共感しました。
イオ: 確かに、HIPHOP の方達はフッドというか、地元をレペゼン(※代表する的な意味)するのを大事にしてますね。
神と: また、ラブライブ!というのは大雑把に言うと 2.5次元的な、アニメの映像と連動して実際の声優さんのコンサートを行うシステムを取り入れているのですが、声優(アクト)の面々のバックボーンが、簡単にいうとけっこう崖っぷちの人が多い寄せ集めのチームで、元子役の人とか、そこまで有名ではなかったグラビアアイドル、K-POP シンガーだったり、声優という観点ではほぼ素人みたいな評価をされていた人たちで、大丈夫か?という感じでプロジェクト立ち上げ当初は本当に人が集まらないコンテンツだったんです(ここらへんの歴史は僕は 2013年から入っているので後追いになります)
イオ: そんなに前からあったとは・・・。
神と: そういう、素人の寄せ集めであるということは、アニメ版(何度も注釈になってしまいますが、アニメ版が全てではありませんがわかりやすく。)の九人のストーリーにもシンクロしていて、かつ、その部分も HIPHOP の成り立ちにかなり似ている部分があります。
イオ: 9人主役というか、メンバーがいるんですね。
神と: そうです。9人はそれぞれに得意分野が違って、衣装を作る人や曲を書く人やダンスが得意な人などが力を合わせて頑張って活動していきます。
イオ: おお、熱血なストーリー・・・。
神と: そんな中で、ストーリー上でアイドルの大会で優勝しますし、実際の生身のコンサートでも東京ドーム埋めるほどの大成功をします。
イオ: え!生身というのは、声優さんが実際ステージに出てという事ですか?凄い・・・、現実とバーチャルな部分がリンクしていくんですね。
神と: どれくらい壮絶かというと、メンバーの一人の Pileさんという人は韓国出身で単身活動するも売れなくてバスローブ姿で歌う変なキャラ付けをさせられていたくらい要はギリギリだったというエピソードがあり、それを今でも芸名としてパイル地のパイルと名乗っています。
イオ: AV 出演前の本当にギリギリな感じですね・・・。
神と: とにかくこの辺は、ライムスターの k.u.fu. みたいな世界観で、全部を試して、芽がないなかで集まったメンツで天下を取るみたいな、そういう精神性があり、主要メンバーの矢澤にこというキャラクターは、アイドル文化のことを心から愛し研究するも売れなくて、仲間が一人一人去っていく中でアイドル部を存続させて、そんななか主人公チームと合流して尊敬し合いながら成功を掴むというストーリーがあり、本当に今でも活動の指針にしています。
イオ: 昭和な例えですが、スラムダンクのゴリみたいだ・・・。(確認した所、スラムダンクはギリギリ平成初期でした)
神と: 補足ですが、この話にはかなり重要なエッセンスが含まれていて、まず、HIPHOP やアイドルの活動に関して最も重要なのはただの熱血な「愚直な努力」ではないという点。ある意味のずる賢さや機転、トレンドを掴む情報力などを総合的に強さに変えられたやつが成功を掴むことができる・・・そもそもラップや DJ などの活動自体がその特性を大いに孕んでいます。音楽をやると言って普通に楽器を練習しないという選択。サンプリングと称して大胆に人の曲を使用するなど、発想と機転で大きなものを動かそうとする意思。これが穂乃果陣営の方が上手だった。そしてそこに対して矢澤にこが否定ではなく理解を示し、リスペクトで答えたという話です。
もう一つ重要なのは、今まさにその愚直な努力をしているOG・矢澤にこ、オールドスクールの先人に対してリスペクトで受け入れ、仲間に加えている。
つまり、スタンスや年代の違う両者をつなぐものが「尊敬」であるところです。目の前の邪魔なものを安易に排除したりしないところが本当によかった。まさしく peace,unity,one love です。(思い出補正もかなりあります)
「ラブライブ!サンシャイン!!」は更に熱かった
神と: で、まあこれは第一期というか、一番最初の「μ's」というグループの話で、その後どんどん後続プロジェクトが出てくるんですが、その直後のシリーズが「Aqours」(アクア)と言って、正直ここが僕にとって最大のハマりになりました。ラブライブ!サンシャイン!!これはインタビュー一番最初の話にもかかってくるのですが、ラブライブ!無印の μ's が東京のレジェンドの成り立ちの話だったんですが、ラブライブ!サンシャイン!!の Aqours は地方でのアイドル活動にスポットを当てた話です。ちなみに「Lovelive」というのはアイドルの学生全国大会の名称です
イオ: 大会名なんですね・・・「Aqours」は、何年頃だったんでしょうか?
神と: この一枚絵が出たのが始まりで、それが 2015年 2月ですね。ラブライブ!サンシャイン!!は、東京の μ's とちがって地方(静岡県沼津市)の学生たちがアイドルを目指すという話なんですが、これが本当に茨城県みたいな地方出身者としてはかなり共感しかないディティールになっていて。

イオ: 凄く現実的な地名になってきますね・・・。
神と: また、東京のシーンに羨望や怨念じみた感情を抱いて活動するという話で、これは THA BLUE HERB(北海道で活動している HIPHOP ユニット)を代表とする日本の地方 HIPHOP 史にかなり重なる部分があります。というか、μ's が東京で成功して、次に静岡でやるとなったのをリアルタイムで知った時に、マジで HIPHOP をやろうとしているんだな、と衝撃を受けたのを覚えています。
イオ: THA BLUE HERB 自体はきちんと聴いた事はないんですが、北海道を背負って、凄く真面目に活動している人達というイメージがあります。実際に静岡でライブもやったんですか?
神と: さんピン CAMP の参加メンツとよく対比される「THA BLUE HERB」や、「GAGLE」、「餓鬼レンジャー」、「TOKONA-X(さんピン出てますが・・・)」、茨城で言うと「Lunch Time Speax」など、1990年代から 2000年代の地方 HIPHOP の盛り上がり的なものを目の当たりにしていると、Aqours の活動の指針とかなり被って見えます。
イオ: なるほど・・・。
神と: ちなみに静岡では 2019年ライブをやろうとしてコロナで断念していました。
イオ: 出た、コロナ・・・!
神と: で、年代的にも μ's がたとえばオールドスクールの生きるか死ぬか観点の HIPHOP だとしたら Aqours からの HIPHOP はそこから少し時代が進んで地方民のアイデンティティーウォーの手段として捉えている面もあり、ここも僕の世代の活動にかなり共感があって、アニメを見ながら毎週震えていました。
イオ: おお・・・、だんだんラブライブ!を観たくなってきました
神と: ほんの一例ですが、さっきリンクを送った「助けて、ラブライブ!」という文言だけが書いてある画像、あれが公開当初みんな意味不明すぎて結構馬鹿にされたりしていたんですが、アニメの話数が進むうちにあの文言に言及されるシーンがあり、「田舎には何もない。あるのは国道沿いのチェーン店と薄ら終わった雰囲気だけ。文化は全て東京に吸われてしまった。そんななか一体何を拠り所にして自分を確立すればいいのか。そう考えた時に、地方に居ながらにして自分達をアピールするには地元の仲間とアイドルになってラブライブ!に出るしかない。今ラブライブ!に助けを求めたい」と言う意味で「助けてラブライブ!」だったんです。これは Stillichimiya の田我流の「Ice City」という曲や、政策に関わっている映画「サウダーヂ」、アルバム「B級映画のように2」にかなり似た思想が見られます。
イオ: サイタマノラッパーなんかもそんな感じでしたね・・・。
神と: サイタマノラッパーは見ていませんが、かなり根幹的に HIPHOP の思想に近いです。
イオ: 今「Ice City」聴いてみてますが、まさに全国の田舎のシャッター街を表した曲ですね・・・。
神と: やはり Aqours も統廃合で学校が廃校になりそうになるんですが、結局廃校阻止できず、普通に廃校になります。それで主人公たちが活動自体に意味がないんじゃないかと挫けていた時、フッドの仲間(在校生)が「学校はなくなるかもしれないが、お前たちが大会で優勝することで学校の名前を永遠にしろ」ということを言うシーンがあり、それこそ Stillichimiya(統廃合によって消滅してしまう山梨県一宮町の名前を背負って結成されたグループ名。今では実際に全国区に知られる存在となり、消えていくはずの名前を永遠にしました。)凄すぎるアニメでした。
イオ: おおお
神と: かなりかいつまんで話しているので、有識者の人に見せられる内容ではないんですが、大枠そういう感じです。
イオ: なるほど、すごく為になりました。ありがとうございます。
ラブライブから降りた理由
神と: ただ、僕がラブライブ!に HIPHOP を感じているのは Aqours までです。その後の2作品というか 2グループの話に関してはそこまでの感情はありません。
イオ: インタビュー前にお聞きした現行のラブライブ!からは降りている、というのと繋がってくる感じでしょうか。
神と: まず、現行 2020年代の背景で「ラブライブ!」をやろうとした場合、今までのやり方では不可能という事実があります。初代ラブライブ!が立ち上がった当初、日本はアイドルブームで、AKB48 やももいろクローバーZ などが流行っていた世相でした。つまり学校でアイドルをすることは廃坑を阻止できるかもしれない力があった。でも今学校でアイドルをすることは何かの手段になりえるほどの力がないです。
イオ: はい。
神と: アイドル自体が流行り尽くして地下まで層ができてしまったので、これは別にアイドルに限ったことではなく、その前はお笑いブームだったりバンドブームだったりがあって、いまたまたまアイドルはその位置にいないという感じです。
イオ: そうですね・・・確かに出尽くした感はありますね・・・。
神と: だから、なぜ今のラブライブ!の人たちが 2022年にバフのない“スクールアイドル”をやっているのかがそもそも不明瞭で、そうなると「学校でアイドルをやるということ」に対する掘り下げみたいなものが自ずとテーマになってくるのですが、結局話を突き詰めると「学校」という共同体のためではなくて「個」の理由のためにアイドルをやるという話になってしまうと思います。そこがどうしても自分には合わなかった。というか前 2作の幻想が強すぎたのです。
さらに HIPHOP の話にもなりますが、今は僕の世代の HIPHOP と音楽や思想そのものがガラッと変わってしまい、いまでは Trap が HIPHOP そのものにすげ変わりました。前述の地元の仲間とインディペンデントの活動云々・・・、先人の活動を鑑みて尊敬云々・・・みたいな考え方自体が別に消えてはいないのですがそれをメインの考え方とするのは古臭いものになってしまっていて、例えばいわゆるクラウドラップが代表する「個」をより強調した世界観や、SNS 上での目立ち合いを活動の軸とするみたいな価値観を今から愛せといわれても無理があったのでその年代あたりから僕はラップ自体ほぼ聞かなくなりました。ただ、これは年代間によるもので、その年代の HIPHOP を実行しているアーティストやそれをまっすぐに受け止めている人たちを批判したいわけでもなく、単純に僕には合わなかったというだけです。
イオ: ネットもあるし、VR や YouTube での活動もできるし、地元がどうとかってのは確かに無くなった感じもありますね。
神と: で、元々の話に戻りますが、僕がラブライブ!が好きだったのは“僕が好きだった HIPHOP”と似ていたからで、いまはそうではないなと感じてしまったので、無理に追いかけても辛いだけだと思い、今はなんとなくアニメを見たり見なかったりしているだけです。
で、「今はアイドルは流行ってない」という話に対しての回収ですが、僕が高校のときの握手券アイドルと応援歌しかなかった荒れ果てた最悪の時代とは違って今は J-POP チャートが真っ当に機能していて、「アイドル」よりも「音楽」(アイドルではない音楽とは・・・?例えば向井秀徳ってどちらかといえば存在そのものがアイドルなんじゃないの?とか考え出すとこの定義はかなり難しいですが、『アイドルっぽく見えない』音楽くらいに思ってもらえると助かります。「AKB より YOASOBI の方が音楽っぽいよね?」的な)のほうが流行っているというかメインストリームにあると思います。なので liella! のセンターの人は元々シンガー志望で、歌う理由のためにアイドルをしていますね。
ただ、その副作用として、「音楽」としてちゃんと筋が通っていない曲は採用されにくいという難点が出てきてしまい、そういう意味でも μ's 時代の楽曲はジャンルや構成はめちゃくちゃで音も割れてるしガラパゴスで酷かったけど単純に楽しかったな・・・という、まあこれに関してはマジでただの懐古です。
「#BLACKVOXX_TOUR」、そして過去に聴いていた音について
イオ: 神と和解せよの名前は、インタビューで見ましたが、思いつきでつけた名前なんですよね。

神と: もともとただの裏垢的なオタクアカウントだったので、なにも意図せずにつけていました。のちに意味がありすぎる名前と気づき、かなり難儀しています。
イオ: 最初に Web フライヤーで見たのかな?一体どういう音をやるのか、でも例の看板と一緒で一発で覚えられる名前なので、どういう DJ の方なんだろうってずっと思ってました・・・!
神と: 最初はラブライブ!と日本語ラップを交互に流す芸風でしたが、だんだん普通のアニリミに落ち着きました。
イオ: アニリミはやっぱ強いですね、自分は原曲プレイは無理なので、セットに混ぜて好きなアニリミかけてるって感じです。先日は「#BLACKVOXX_TOUR」というのも行っていたんですよね。これはどういう経緯で行ったんですか?
神と: 記事公開される頃には終わっていると思いますが、これに関しては完全に Vtuber の「BOOGEY VOXX」が昔からの先輩で、フックアップしてもらった感じです。
ツアーの組み立てというか企画自体を大半任せてもらったということで、過去日本中で DJ していた経験を活かして『いままで会った各県の DJ にスポットを当てたい』という思いのもとブッキングを組むことができました。その中で最たる存在として IZU という男がいて、まだ十分な知名度がない、それでいて絶対に注目されるべき人間をこの機会にフライヤーに乗せてアピールしたいと思いました。他にも ohichaaan や大盛りぺろりなど。僕がいまの知名度を手にしたのはどう考えても地方のイベント、オーガナイザーやそのシーンを作ってくれている人たちのおかげです。その恩に報いるようにツアーを組みたいと思い、BOOGEY VOXX に協力してもらって実現しました。

イオ: それで神と和解せよさんの名前も全国に・・・!
神と: もともと地方に行くことの方が多かったので、全国というか「東京」に知れたのではないでしょうか。ちなみにツアー経緯に関してはこちらの記事で詳しく載っています。
イオ: 確かにRTでめっちゃ流れて来ました・・・!リンクありがとうございます!ちなみに、中高生の頃も、ずっと HIPHOP を聴いていた感じだったんでしょうか?
神と: 僕の場合は今でいう「陰キャ」すぎて、リアルタイムで中高生時代に流れていた音楽はほぼ分からなくて、当時の歌番組等もほとんど見たことがなくて、全てが後追いでした。中学時代にクレイジータクシー経由で The Offspring を知り、その流れで LINKIN PARK などのミクスチャーを通って、最終的に日本語ラップにたどり着いて DJ を始めました。
イオ: なるほど・・・!アニソンと HIPHOP だと MOGRA でやってる ZERO君ぐらいしか知らないんですが、色々と混ぜると他の人に文脈がわかってもらえなくて苦労したりしませんでしたか?
神と: 神と和解せよの音楽性で DJ をやるときに素の HIPHOP はほとんど使わずほとんどリミックスだけでやっていたので別に大丈夫でした。
イオ: 今はサンクラや bandcamp でリミックスも物凄くたくさん出てますしね・・・。
神と: いまでは完全にサウンドクラウドのみでDJしています。
それというのも、サウンドクラウドのリミックスは僕が今所属しているコミュニティの固有音楽であり、つまりフッドミュージックです。
例えばですが、僕は電気グルーヴのお二方や中田ヤスタカ氏との面識は今の所一切ないですが、FAIZ や Marble をはじめとしたリミキサーとは直接もしくはインターネットを介した間接的な繋がりがあります。そうなると僕が多少なり表に立つ「DJ」として楽曲を使用して、お互いの立場で恩恵がより大きいのは繋がりのある人の音源を流すことです。そういう意味で僕はどんな舞台でもサウンドクラウドの音楽にこだわった DJ をやっているつもりです。
イオ: 私は(サンクラに上げた)SHISHAMO ネタや布袋ネタは完全に弾かれちゃったんですが、よっぽどの事がないと大体のネタはありますもんね・・・!ちなみに、トラックメイクなどは現在行っているのでしょうか?
神と: 全くしていません。それこそ日本中や世界中に信用できるリミキサーがいるので、僕はそれをなるべく大きな場所・いろんな場所で流す役割を全うするために活動しています。
イオ: では音源掘りまくって、DJ 活動に集中している感じですね。
これからの展望とホロライブについて
イオ: これからどうしていきたいなどの、展望ってありますでしょうか?
神と: フジロックとかに出たいです。
イオ: フジロックに「神と和解せよ」の名前が!「DJありがとう」(山口県に住んでいる J-POP DJ。フェスや大きいイベントがある度に @ で私を出してみませんか?と営業をしている。)クラスのインパクトですね!
神と: 名前というか、この芸風のままでどこまでいけるのか知りたいですね。正直もう頭打ちと思われている気もしますが、まだまだ攻め続けたいです。
イオ: やる気に溢れている・・・!見習いたい所です!和解さんは Vtuber にも詳しいとの事ですが、Vtuber というか、最近流行ってる VR での DJ などには興味はありますでしょうか?
神と: ラブライブ!の話に戻るんですが、僕にとってはいま一番ラブライブ!を感じるのは Vtuber というかホロライブです。だからやっていることは当初からあんまり変わってない気がします。
イオ: めっちゃ流行ってますよね、ホロライブ。
神と: ホロライブも、特に宝鐘マリン船長が好きなんですが、雑談を聞く限り苦労している同年代で、地方出身者の悲哀があり、また、自分が通ってきたカルチャーを背負う形でいろんなことに挑戦し、最終的にいま成功を掴んでいるのが本当に尊敬しています。VR での DJ はそこまで興味がないです。
イオ: 今ホロライブのオフィシャル見たら、Youtube で約5,000万人のファンがいるって書いてあって、おったまげました。やっぱりサクセスストーリーは夢っていうか、夢では終わらせたく無い物がありますね・・・!宝鐘マリン船長、78歳という設定なのか・・・
神と: それはネタ配信での設定です。設定は 17歳。
イオ: あ!本当だ!
神と: ちなみに実年齢は 30歳(定説)一昨日くらい(7/30)に誕生日でした。先に書いた通り、μ's の時代にブームだったものがアイドルだったというノリで、今は Vtuber が流行っていて、夢を追ってみんな live2d を作っている感じです。ハイスタの影響でみんなレスポール買うみたいな現象。
イオ: めっちゃ分かりやすい例えありがとうございます!最近 bandcamp でわけのわからん音源ばかり掘ってたので、色々見識広げたいですね・・・!ちなみにホロライブ以外で、音以外でも気になっていたり、ハマってたりするものってありますでしょうか?
今ハマっている事、好きな 3曲
神と: 最近はようやく収入が安定したのでメルカリで当時買えなかったバンドの物販 Tシャツを買ったりしています。あと、北野武の書いてある Tシャツを集めています。

イオ: 北野武好きなんですね。アウトレイジなんかも好きですか?
神と: アウトレイジはそこまでなんですよね。寺島進を出さなかったのが本当に意味がわからなくて、正直微妙です。
イオ: キッズリターンとか?
神と: キッズリターンは好きです。ラブライブ!の話に戻ってしまうんですが、
イオ: はい!ガンガン戻って下さい。
神と: 武映画に出てくるたけしが演じてる役柄って完全に高坂穂乃果なんですよ。高坂穂乃果というのは μ's のリーダーです。
イオ: ほうほう
神と: すべてを失って(穂乃果はいうほど失ってないけど)。目的のためのマシーンと化して感情を失った男・・・、みたいな感じ。
イオ: たけし、映画だと色々失ってる感じですもんね・・・。
神と: 高坂穂乃果はアニメ版だと特に「廃校阻止マシーン」として振る舞って、目的を遂行した後、最終的に屋上で一人過去の自分に話しかけて終わりますからね。
イオ: 切ない・・・。
神と: 普通のアニメだったら仲間と分かち合って終了ですが、そこがめっちゃかっこいいんですよ。ちなみにジョニートー作品にも影響を受けていると思っていて、「エグザイル/絆」に出てくる決闘前に証明写真機でプリクラみたいに遊ぶシーンがそのまま出てきます。そういうハードボイルドな世界観が好きというのも一つ要因としてあります。
イオ: なるほど・・・、完全に謎だった神と和解せよさんの姿がだんだん見えてきた感じがします。
神と: あと最近だと輪るピングドラムの映画が面白かったです。逆にゆるキャン△は良いは良いけどそこまで、オッドタクシーはなかったことにしたいです。映画版。
イオ: ピングドラム序盤しかみていなかったな・・・、オッドタクシーの映画はほぼ総集編みたいな噂を聞きました。
神と: ピングドラムはめちゃめちゃ救済されるアニメなので見た方がいいです。オッドタクシーは追加シーンがまじで余計だったのでやめてほしかったです。シェーンが元気に Uターンして帰ってくるみたいなラストでした。
イオ: ピングドラム、再履修してみます!アマプラにまだあったら・・・、オッドタクシー、そんなんだったんですね・・・。前はインタビューで好きなジブリ作品とか聴いてたんですが、意味も無いし飽きてきたので、今この曲を聴いて欲しい!みたいな曲ってありますでしょうか?もしあったら三曲程度!
神と:
おすすめ 3曲 Youtube 編
おすすめ 3曲 SoundCloud 編
今一番勢いのあるユニットの初 EP
バキバキに音が割れているオトナモード
突如現れたリミキサーによるクオリティの高すぎるブート
神と: おにぱん!すごくよかったです。
イオ: おにぱん!見てなかったです!パリピ孔明とか見てました!曲、ありがとうございます!
神と: パリピ孔明もすばらしかったです。
イオ: サクセスストーリーそのものですしね・・・、友人のおもしろ三国志を思い出しました。それでは最後に何か伝えたい事とか補足などありましたら教えて頂きたいです。
神と: 伝えたいこととしては、神と和解せよの音楽性は何歳になってもいつまでもサウンドクラウドの一番ガチャガチャした派手な部分をやりたいと思っているのでいきなり普通のテクノとかやりだしたら怒ってほしいということくらいです。
イオ: わはは!ありがとうございます!

最後に
如何だったであろうか。完全に謎だった「神と和解せよ」氏の姿が見えて来た気がする。冒頭近くに紹介した、こちらのインタビューも平行して読んで頂けると、今までの活動がわかりやすくなると思う。アイコンの「ゆるゆり」に関しては前のインタビューに詳細が載っていたので割愛してしまったが、ラブライブと HIPHOP の共通点、仲間と力を合わせてお互いリスペクトし合いながら成功を掴みたいという姿勢。そしてこれからも上を目指したいという氏のハングリーな精神が見えて来た気がする。私もいい年だが是非見習いたい所である。それぞれスタイルは違えど、これからも是非「神と和解せよ」氏を応援していきたい。ビート・ゴーズ・オン。